ポップアートは、大量生産・大量消費社会をテーマとして表現する。
1960年代に入りアメリカのポップアートの代表格ともいえるロイ・リキテンスタインと、商業デザイナーだったアンディ・ウォーホルの二人が、コミックスの拡大模写によって世に出ました。
大量に印刷され、絵柄も似たり寄ったりの漫画は、既製のイメージの中でも最もキッチュで悪趣味なものではありましたが、単純で力強い線などが魅力的であり「グッド・デザイン」を粉砕する威力がありました。
アンディ・ウォーホルはその後、スープ缶、洗剤箱、女優や有名人の写真などいたるところにあるイメージを用いた版画を大量生産し、もともと見慣れたイメージをさらに大量にばら撒きました。1961年に渡米していたローレンス・アロウェイがこの地に「ポップアート」という言葉を紹介し、これらの傾向の呼び名になりました。
ポップアートは映画や漫画などの大衆文化同様に、観客の心を一瞬で掴む強い魅力的なイメージを持っているのでわかりやすく、しかもアメリカの大量生産品や大衆文化をテーマにしているため、アメリカの豊かさを賛美する魅力的な芸術のように見えます。逆に、ここからアメリカの大量生産品や大衆文化の貧相さ、悪趣味さや、商品を大量に消費しどんなに豊かになってもなお逃げられない死の影を見出す者もいました。
また、ウォーホルとリキテンスタインらポップアートの作家たちは大衆絵画としても成功しました。
大衆文化の多くはマーケティングにより顧客を調査し、大量に販売し、大量に使い捨て忘れ去られることが常でしたが、大衆(特に若者)の側もマーケティングによる工業製品的なイラストレーションばかりでなく、多少いびつでもアーティストと呼べる者が作った個性的な作品による知的刺激や現状への異議申し立てを求めていました。
ビートルズがアメリカの巨大音楽産業に打ち勝ったように、ポップアートも商品やメディアに囲まれて育った世代の若者の原風景であるスターや商品を魅力的に描いて若者に刺激を与え、その版画作品は熱狂的に受け入れられたのです。
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